2月の読書メモ(医療)
『献体 ―遺体を捧げる現場で何が行われているのか』
献体 ―遺体を捧げる現場で何が行われているのか (tanQブックス)
- 作者: 坂井 建雄
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2011/06/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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人体解剖には,正常解剖,病理解剖,法医解剖の三種類がある。医学生・歯学生の教育・研究目的の正常解剖は,95%が献体された遺体で行なわれる。昔はもっと不足していたが,献体に対する理解も広まり,現在では十分な数の献体登録がなされているという。
献体は無報酬。大病をしたとかで,医学の世話になった人が恩返しのために登録するケースが多いようだ。献体登録していることを誇りにして充実した日々を過ごしている人も少なくない。日本には献体登録してる人たちの交流の場である献体団体があるが,これは世界でも珍しいらしい。
歴史好きなので,人体解剖の歴史も面白かった。西洋のと日本のと。江戸時代の人体解剖(腑分け)は,死罪の付加的な刑として,刀剣の試し斬りに代わるものとして行なわれた。切腹はもちろん,下手人や磔・獄門は対象外。下手人っていうのは最も軽い生命刑で,遺体は遺族に返還するからできない。
諸外国の献体事情についても述べてて,かなり意外なことも。アメリカでは医学以外の献体利用もあるらしい。「自動車事故での人体損傷を調べる実験に利用されたり、防弾着を改良するために弾丸や爆弾で人体を攻撃する実験に利用されたりといった事例が報告されている」(p.114)には心底驚いた。航空機エンジンのバードストライク試験で,死んだ鶏を使うのは知ってるけど…。献体って考えたことないけど,アメリカでは絶対に献体したくないな。
アメリカでは献体者の遺族に報酬を払うことが法律で禁止されているが,日本ではそういう規制はない。無条件・無報酬ということが倫理規範として機能。ほかに,ドイツでは埋葬費用節約のためのプラスティネーション希望者が結構いるらしい。国によって様々だなぁ。
やはり自分が,家族が献体することを考えると,かなり抵抗があるな。医学には必要だし,死んだらおしまいなので,べつに嫌がる理由もないんだけどね。遺骨が二三年帰ってこないので遺族は少し困るかな?放射能を無闇に怖がる風潮はなんだかなあと思っていたけど,案外同じような心理なのかも知れない。
『「健康食」のウソ』
- 作者: 幕内秀夫
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2011/10/15
- メディア: 新書
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粗食が良いという根拠らしい根拠は書いてない。単に外国のものなど気に入らん,和食が好き,というだけ。管理栄養士が自分の好き嫌いを押し付けちゃいかんだろ…。大丈夫か??
マクロビに親和性あるかとおもったら,玄米菜食はお勧めできないという。塩分摂取には寛容。よくわからん。
トクホとかアメリカとか嫌いらしく,『アメリカ小麦戦略』を真に受けてる。要するに,大企業が嫌いなんだろう。
とにかくバイアスがすごい。新聞の取材で横浜の長寿率が高い理由を問われ,「どこかの山村なら『みそや山菜などの伝統食が残っているのかな?』と考えますが」p.98 っておいおい…。
何か著者はいろいろ著書あるみたいだが,ダメの人だと思う。三十年ほど前に「伊豆健康センター」という断食施設(?)で働いていたことがあり,自分でも断食を二十日間してみた(しかも断食終了後にカレーを食って酷い目にあった)とか,飲尿健康法を試してみたとか,ああ,これはダメだと思った。管理栄養士ってこんなのでいいの?