11月の読書メモ(その他)
- 作者: 帚木蓬生
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/08/19
- メディア: 文庫
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安易な二分法というのは往々にして批判されるものだが,男女の区分など,世の中にはあまりにも当たり前とされていて,見落とされていることが多い。ものごとに明確な境界はない,すべては連続的で,境界線は便宜のために恣意的に引くしかない。分けるとは分かること,と言うように,ものごとを理解するためには人為的な線引きが必要だけど,その線がどう引かれたのかを忘れてしまうのもまずい。男女って思ったほど違わないんだな…。
最近読んだシノドスジャーナルの記事,執筆者は,非営利団体インターセックス・イニシアティヴ代表の小山エミさんという方らしい。性同一性障碍に続いて,インターセックスもだんだんと社会的に認知されるようになってきてるのかも。
なぜ投資のプロはサルに負けるのか?― あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方
- 作者: 藤沢数希
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2006/12/08
- メディア: 単行本
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本書は,2006年に書かれたもので,ファイナンス・インテリジェンスを養おうという趣旨。経済や投資に関する本は,かなりトンデモな内容のものが堂々と書店で売られている特異な分野だそうで,そういうのに騙されることのない基本的な素養が大事。結局のところ,「うまい儲け話などない」ということなのだが,そのことがかなり説得力をもって書かれている。
「効率的市場仮説」というのが一つのキーワードになっている。自由な市場の価格決定メカニズムと,超優秀な金融のプロの競争によって,株価は適正な価格に保たれているという仮説。そのために,逆説的だが実力より運が支配的になって,誰が投資をしても半々の割合で損したり得したりする。本書のタイトルにあるように,ノーベル賞受賞者の設立したヘッジファンド,LTCMでさえ大失敗をした。サルに任せておいた方がましだった。
皆が効率的市場仮説を信じてしまうと,適正な株価を模索するコストを誰も払わなくなるので,市場は効率的でなくなってしまう。効率的市場仮説を信じない人々が,相手を出し抜こうと熱心な分析を行なうことで,効率的市場仮説が正しくなっていく。
文章表現が上手で,「適切な金利を決めることにより、お金は自由に時空を飛び交うことができるようになる」(p.95)とか,うまいこと言うなという感じ。別に詩的な表現というわけじゃなく,ホントに時空を行き交うし。もっとも,人を食った言い方も目立つので,好き嫌いは分かれそう。シグナリング効果について,「高い年会費を払う経済合理的な理由はありませんが、ゴージャスな色のクレジットカードを持っていれば、女性にモテるというのであれば話は変わってきます。」(p.29)とか,よく女性とか恋愛を引き合いに出して茶化したりしてる。「競馬や宝くじは期待値の意味が理解できないひとたちからお金をむしり取ることで運営されています」(p.85)って真実かもしれないけど身も蓋もない。「競馬というのは愚か者が払うテラ銭によって運営されてはいても、やはりすばらしい文化だと思うのです」(p.70)と一応フォローも忘れない。
- 作者: 石神賢介
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/08/01
- メディア: 単行本
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巻末に各メディアのメリットデメリットもまとめられていて,これを参考にすれば効率よく活動できそう。
そう,効率。知人が言ってたが,実際ネット婚活はとても効率がいいらしい。転勤OKかとか子供は何人かとか,希望の条件で,あらかじめ相手を選別できるから,無駄な時間が節約できる。
ネット婚活では,男は他の男会員の情報を見ることができず,女も同様というが,著者は,女性同志と共闘することで,他の男会員の様子も探り,効果的な婚活に邁進したそうだ。ただ,最後まで読んでも,結果は思わしくなく,同志にはあっさり先を越されている。orz
ルポの内容はいろんな人がいるんだなという感想。理系男子としては,女性には何だか幻想があるのだが,いろんな女性がいるらしい…。ホントかな??
総じて,ネット婚活やパーティに来る男性は,いまいちかナンパ師かの両極端,女性は意外といい人もいるそう。高望みなのかな。
落とし穴の指摘にはなるほどと感心。出会えた時点で目的達成という錯覚に陥りがちだそう。出会うまでにかなりの労力を使い,プライドもすり減らしている分,二人で食事をしただけですごい達成感が得られてしまう。スタミナ切れをせずに,進めていかなくてはならない。