7月の読書メモ(経済)

経済学的思考のすすめ (筑摩選書)

経済学的思考のすすめ (筑摩選書)

 経済学の専門家でない人が経済本をものし,それが結構売れちゃう日本。経済学者がこの現状に警告を発する本。
 一般向けに噛み砕いて本を書いてきたのに,間違いだらけのシロート経済本の方が売れると愚痴もこぼしている。筆者は,他の分野ではそんな非専門家によるダメ本は幅効かせてないよねと言っているが,トンデモ本が売れるのは経済学に限らないと思うけど…。
 経済学は演繹で,似非経済本は帰納だ!と両者の違いを強調。前提を仮定して,そこから経済の動きをを演繹的に導き出すのが本物,あやふやな帰納とか類推を使って大雑把に分かったような気にさせるのがニセモノだという。
 まあいいたいことはよくわかるし,経済学の説明も何とか追えた。ダメ本としては,辛坊治郎・辛坊正記『日本経済の真実』を取り上げて,めった斬りにしてる。サイパンで読んだ。

経済論戦の読み方 (講談社現代新書)

経済論戦の読み方 (講談社現代新書)

 斜め読み。緩やかなインフレによってデフレを脱却すべし,とするリフレ派の著者が,論敵の構造改革派の考えも含めて今日の経済問題を紹介
 あと,奥村宏『判断力』を単なる「御用学者」批判だとして,「単に自分の賛成できない主張をする経済学者を,『御用学者』と呼んでいるにすぎない」(p.199)と酷評。陰謀論に御用学者のレッテル貼り,七年前の本だけど,今もおんなじだなあ。
 ブックレビュー・コラムとして,ダメな経済本を何冊か紹介している。筆者が「万年危機論」と呼ぶ煽り系経済本は,つまるところ陰謀論なのね。「永遠に事実によって反証されない論理と,いつかは当たるかもしれない万年危機論。まさに彼らの商品は『無敵』」と評している(p.145)。
 経済学の基本を学んだことのない人にも分かるように努めたとしてるんだけど,ゴメンナサイ経済の理論のところはついてゆけずに飛ばし読み。