水道水による外部被曝は?

 昨日(23日)金町浄水場の水道水から乳児摂取制限を超える210Bq/kgのヨウ素131が検出された。こちらは今朝には下がったが,ちば野菊の里浄水場では220Bq/kgが出た(23日採水)。うちはここを使っているようだ。多分雨のせいで一時的に上がったのだろうが,水道水の放射能汚染は,世の母親の不安感をあおっている。
 でも,水道水が汚染されているとして,飲用による内部被曝しか問題にされないのはなぜだろう?風呂とかプールでは何千リットルの水道水に囲まれるのに。千リットルだったら210万ベクレルだよ?危なくないのかな,外部被曝
 そこで素人なりにちょっと調べてみた。安全をみてやや大きめに見積もってみる。ヨウ素131からのβ線は,1MeVのオーダーらしい。β線は薄い金属板で遮蔽されるという説明はよく見かけるが,水でも遮蔽されるようだ。例えばこのサイトによれば,水の中での最大飛程は4mmくらい。なるほどこれなら大丈夫そうだ。
 人間の表面積はだいたい2平方メートルだから,放射能をもつ水に浸かったときの外部被曝に関与する水は,厚み4mmで,約8kg。200Bq/kgとして,1600Bq浴びることになるが,これは全身の皮膚でまんべんなく受けることになるし,そもそも人間は体に含まれるカリウムとかから常に6000Bq内部被曝してるから,多分問題ない量なのだろう。カリウムには無視できない量の放射性同位体がある。
 ヨウ素131を飲んだ時の内部被曝は,放射性ヨウ素甲状腺に取り込まれる恐れがあり,甲状腺だけが集中的に被曝するので問題なのだった。それを想定して基準が作られてるんだろう。もちろんヨウ素131のβ崩壊では,β線だけでなくγ線も出る。γ線は透過力が高いが,線量が小さいので多分大丈夫なのだろう。このサイトの「生体に対する影響」参照。


追記:人体への影響を考えるには,本当は人体が吸収する線量率を求めて時間積分し,吸収線量を出す必要があるようです。4mm厚の汚染水道水が出す1600Bqの放射線のうち,半分は人体の方ではなくて外側に行くでしょう(残りも体表に垂直入射する訳じゃないのでもっと減ると思います)。すると,1MeV=1.6*10^-7μJ,そしてヨウ素131からのβ線は0.6MeV程度なので,1600/2*0.6*1.6*10^-7*3600=0.3μGy/hよりも吸収線量は少ないはず。ベータ線なので,線量当量も同じ値の0.3μSv/hとなります。ヨウ素半減期は8.04日なので,この値は8.04日毎に半分,1日毎に0.917倍となるので,初め200Bq/kgのヨウ素を含んでいた水に毎日一時間浸かり続けても,被曝線量当量は4μSvを超えることはありません。これは,自然放射線2400μSv/年の600分の1未満であり,ほとんど影響ないレベルと思われます。経口摂取の場合は,実効線量係数というのが核種に応じて決まっていて,ベクレルからシーベルトに換算できるようです。