世界でもっとも美しい10の…
- 作者: ロバート・P・クリース,青木薫
- 出版社/メーカー: 日経BP
- 発売日: 2006/09/14
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10の実験の主役は,エラストテネス,ガリレオ,ニュートン,キャベンディッシュ,ヤング,フーコー,ミリカン,ラザフォード。実験の数と合わないが,これはガリレオが2回入選していることと,最後の実験は特定の一人に帰着できないためだ。
キャベンディッシュは8人のなかで一番有名じゃないかもしれないが,印象に残った。18世紀の終わりごろ,彼はとても精巧につくった機械で地球の重さを測定した。当時すでにニュートンの万有引力の法則は知られていたが,地上の物同士の間でその力を測るのは,引力が小さくて難しかった。彼はねじりバネをうまくつかって,鉛球同士の間に働く重力と,鉛球と地球の間に働く重力の比を求め,それによって地球の質量を決定した。彼の測定精度は,その後百年も更新されなかったらしい。
フーコーの振り子は,19世紀中ごろに考えだされて以来,すぐに各地に広まって広く観覧に供された。確かに何の動力もなしに(非常にゆっくりとではあるが)地球の自転というダイナミックな変化が目で見られる,しかも大勢が一度に経験できるというスグレモノなので,急速に普及したのもうなづける。むかし上野の科博で見て感心したのを思い出す。
人物が特定されない最後の実験は,二重スリットによる一つの電子の干渉実験である。あとがきによると,訳者も涙が出たほどのきれいな実験で,たった一つの電子がいわば自分自身と干渉して二重スリットの向こうのスクリーンに干渉縞をつくるのだ。同時に放たれた電子と電子が干渉するなら話もわかるのだが,一つづつうちこんでいった電子の到着先が,全体として縞模様をつくっていく。特に,日本の外村彰らによる1989年の追試結果は解像度もよく印象的で,ネット上にも公開されており,一見の価値がある。
- 作者: ロバート・P・クリース,吉田三知世
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マクスウェル方程式は電磁気の法則をひとそろいの方程式にまとめたもので,電磁波の発見に直結し,のちの相対性理論の不可避的登場にもつながった,とても重要なものだ。ただマクスウェルが導いたのは,ベクトルポテンシャルと静電ポテンシャルを用いた複雑な方程式で,これは彼の死後により簡潔な形に書きなおされた。現在使われているのはこの改良された方程式で,この仕事に貢献した物理学者の名前を冠して「ヘヴィサイドの方程式」と呼ばれることもあるらしい(聞いたことないが)。
- 作者: マーセルダネージ,Marcel Danesi,寺嶋英志
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2006/02/01
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