1月の読書メモ(その他)
『著作権の世紀』
- 作者: 福井健策
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/01/15
- メディア: 新書
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現在何より悩ましいのが,権利処理。作品が多次的・複合的になっていくにつれて,著作権にかかわる人が増える。しかも権利は共有にかかるので,全員の同意を取り付けないといけない。音楽などではJASRACが一元管理する仕組みがあるが,映像作品となると,関係者も多く,なかなか厳しい。
被写体の肖像権なんか考えると,もう何もできないかに見える。NHKや国立国会図書館は規模のメリットを生かしてアーカイヴィングに取組んでいるが,それでも権利者を捕捉するのは至難の業。創作者の没年が分からなければ,権利が切れてるかどうかも分からない。
コンプライアンス,法化の趨勢にあって,委縮効果も甚大。そこで,作品を広く流通させつつ,創作者にいかにして利益を還元するか,模索がなされている。登録制や報酬請求権化,フェアユースなどの著作権リフォーム論,技術的対策としてのDRM,パブリックライセンスなど。
『地雷を踏む勇気』
地雷を踏む勇気 ?人生のとるにたらない警句 (生きる技術!叢書)
- 作者: 小田嶋隆
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2011/11/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ただ,要するにコラムニストは非専門家で,もっともらしいことを分かりやすく言っているからあまり真に受けない方がよいのだろう。本人も,そのような趣旨のことを言っている。自虐的に。
p.41から引用
「『識者』というのは、『自分がはっきりわかっていない事象について』『さらにわかっていない無知な一般大衆を相手に』『わかった気にさせるコメントを提供することのできる』『…そこいらへんのおっさん』なのである。」
確かに。至言だ…。
数年前に内田樹にはまった時期があったが,彼もそんな感じ全開だ。最近は飽きたので,日経ビジネスONLINEで見かけた小田島隆をたまに読むようになったのだが,たぶんそのうち飽きるんだろう。その次は誰を読めばいいかな…?
『体制維新』
- 作者: 橋下 徹,堺屋 太一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/11/01
- メディア: 新書
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頻りに言っていたのは,政治と行政の役割分担。システム・仕組みを変えるのは民意を受けた政治。それに沿って動くのが行政。どちらも不可欠。敵対関係ばかりが報道されてたようだが,職員たちへの敬意も忘れていない。結構好印象だった。
大阪都構想は,巨大すぎて住民から遠く,柔軟に対応できない大阪市役所を,8か9の特別行政区に分けるという話。今の24区は,独自予算も乏しく区長も任命制でほとんど何もできない。また府と市が同じようなことをやってる無駄も省いていく必要がある。
相当な抵抗があってしんどい仕事であることは百も承知で,でもだから政治がそれをやらなくちゃいけないと意気込む。結構強引な印象で、反感を買うタイプだが,こういう人がいないと物事は変わらないのかも。大阪都がうまくいった暁には,どうも国政に打って出て道州制の導入に力を尽くしたい様子。